第4回全国美容医療実態調査 最終報告書(公表版)
(注意:本内容の利用についてはJSAPS調査委員会の許諾を必要とします。)

2021年9月29日
JSAPS調査委員会
事務局(春恒社内)
survey@jsaps.org
TEL:03-5291-6231
FAX:03-5291-2176

1.調査概要

日本美容外科学会(JSAPS)では調査委員会を立ち上げ、国内関連4学会の協力を得て、国内の美容医療実態調査(実施数調査を意味する)を行った。第1回調査では2017年分の施術数調査を行い、2019年2月に最終報告を行った。第2回の調査では、2018年分の施術数調査を行い、2019年10月に最終報告を行った。第3回の調査では、2019年分の施術数調査を行い、2020年7月に最終報告を行った。第4回の本調査では、2020年1月1日から12月31日までに行われた美容医療の施術数(症例数ではない)を、治療種目別および男女別に調査した。本年より、各医療機関によるオンラインによる回答のみを回収した。1症例に2種類以上の施術を同時に行った場合や、2020年中に複数回の治療を行った場合には、それぞれを個別にカウントした。

調査委員・アドバイザー(50音順):岩波正陽、加藤晴之輔、佐藤英明、杉本 庸、高田章好、高柳 進、矢永博子、山下理絵、吉村浩太郎(委員長)
調査協力:日本美容外科学会(JSAS)、日本美容皮膚科学会(JSAD)、日本形成外科学会(JSPRS)、日本皮膚科学会(JSD)
調査集計および分析:今回の実態調査においては、広島大学大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学および広島大学 疫学&データ解析新領域プロジェクト研究センター(田中純子教授)において、集計および解析いただきましたデータを使用させていただいております。調査委員会より、ここに深く感謝の意を表させていただきます。


2.調査目的

本調査は、美容医療実態の透明化を進めることを通して、社会からの理解と信頼を深めることを目的とした。結果的には、我が国における美容医療全体の発展、ならびに美容医療の質の向上に寄与することが期待される。ISAPSが行う国際的実態調査に、日本の実態調査分を提出して貢献することも、あわせて目的とした。
 同時に、2021年1月より厚生労働科学特別研究「美容医療における合併症の実態調査と診療指針の作成」(研究代表者:大慈弥裕之)による美容医療の有害事象の前向き調査も合わせて行っている(2021年12月まで)。有害事象調査の結果については、別途厚生労働省から最終報告書が2022年に公表される。


3.調査対象

JSAPS、JSAS、JSADの会員医療施設すべて、および前記3学会の非会員であるが美容外科もしくは美容皮膚科を標榜している医療施設をリストアップして、そのすべてを調査対象とした。さらに、日本形成外科学会および日本皮膚科学会の研修プログラム基幹施設(それぞれ89施設、108施設)も調査対象とした。メールで1,829件、郵送で1,006件(無効返送を除く)、総数は、2,835施設であった。


4.調査依頼、回収方法

連絡用Eメールアドレスがある医療機関にはEメールで、ない場合には郵送で、調査を依頼した。
調査回答は、Web回答のみで、受け付けた。調査回答の回収は、2021年1月1日より3月31日まで行い、集計した。


5.調査項目

国際美容外科学会(ISAPS)が毎年実施している美容医療調査項目を土台に、日本の実態をより反映できるようにJSAPS調査委員会でアジア人に特徴的な細目などを追加した調査用紙(72施術種別)を使用した。その後、外科的施術に含まれる注射治療などを、非外科的手術に組み入れるなどの、集計方法の変更を行った。


6.調査結果

1)調査回答の回収率

調査対象2,835件中の、580院より回答を得た。調査対象集団別の調査回答数は、JSAPS 会員所属医療機関266、JSAS 会員所属医療機関177、JSAD 会員所属医療機関62、JSPRS 会員所属医療機関43、JDA 会員所属医療機関15、その他医療機関17であった(重複の場合は、前者を優先して表示)。


2)回答の集計(資料1)(注:目立つ変化には↓↑を入れた)

調査回答 580 院分の各施術項目別の合計を資料1に示す。2020 年全美容施術数回収分の合計は、1,484,161 件↓ (前年は 1,976,266 件)であった。その中で、外科的手術232,479件 (15.7%)(前年は259,562件、13.1%)の内訳は、顔面・頭部が203,967↓(前年232,521)件、乳房が9,395↑(前年7,832)件、四肢・躯幹が19,117(前年19,209)件であった。調査年により、いくつかの施術を非外科施術として取り扱うことにしたため(ヒアルロン酸注射豊胸や非外科的腋臭症治療など)、比較には注意を要する(資料1の項目としてに明示されているので参照していただきたい)。
 一方、非外科的施術1,251,682件(84.3%)↓(前年1,716,704件、86.9%)の内訳は、注入剤(乳房を除く)が310,136件(20.9%)↓(前年523,002件、26.5%)、顔面若返り関連が432,507件(29.1%)(前年584,828件、29.6%)、その他(脱毛や再生医療など)が509,039件(34.3%)(前年 608,874件、30.8%)であった。


あとがき

本実施数調査は毎年2-3月に後ろ向き調査として行う予定であり、年次を重ねることにより、より信頼性の高い統計および分析結果が得られるとともに、時系列による傾向・嗜好の変化など、多くの情報が収集できると予想される。末筆ながら、実態調査に協力していただきました各医療機関に感謝いたします。